ブランド化=宗教化
ブランディングとは
本来、思想・概念作り
それを伝える活動のことであり、
ロゴマークやパンフレットを
つくることではない。
例えば
世界最強のブランドであるキリスト教は、
“文字”の経典と”人”の布教活動で
現在の地位を確立してきた。
美しいウェブサイトをつくることが
ブランディングではなく、
言葉から共感を広げていく行為が
強いブランドの源泉になる。
よって、経営者や上長は、
顧客や部下に対して自分の考え方を伝える
布教者でなくてはならない。
家紋とロゴマーク
世界で家紋を持つ文化圏は
ヨーロッパの貴族社会と日本だけであり、
日本では家紋を持たない家系はないとも
言われている。
日本人は古来より
「視認性」「識別性」「独自性」を
強調したものを旗印として戦場で掲げ、
味方の統一のためにマークは機能してきた。
これは1000年後のマーケットにおいても
本質的には変わらずに、
良いロゴマークは強くシンプルにデザインされ
組織をまとめる力を持っている。
もし、自社のロゴマークが
なんとなくで作られていたり
いつのまにか複数ある場合は
統一の力を持ちにくいであろう。
身近で例えると、
日の丸のパターンはひとつしかなく
世界一シンプルにデザインされた。
コンセプトより大事なもの
コンセプト(企画)の良し悪しは
コンテクスト(連想)の強さに比例する。
例えば、
ある都心のラーメン店では
つけ麺ならぬ「つけ肉」という商品が
共感を呼んでヒットした。
つけ肉というコンセプト(企画)の中には
人の頭の中で、下記のコンテクスト(連想)が作用する。
1.「高糖質のつけ麺を食べると太る」
↓
2.「でも、あのコッテリ感を味わいたい」
↓
3.「そもそも炭水化物のない昼食は選択肢が少なすぎる」
↓
4.「サラダチキンは飽きた」
↓
5.「いきなりステーキは行列すぎて昼休みがなくなる」
↓
6.「つけ麺の麺を肉に変えられる?」
↓
7.「麺が肉なら低糖質なのでOKだろう」
↓
8.「お昼はここにしよう」
このように、
コンテクストの強さが
人の意思決定を後押していく。
(その中には、7.のように人が都合よく
意味付けするものも含まれる。)
反対に、人の頭の中で連想させられなければ
コンセプトになり得ず機能しない。
コンセプト(企画)の決定は
コンテクスト(連想)があるかないかで決める。
市場に私情をはさまない
商品やサービスが売れないのは
市場のせいではなく
私情のせいである。
自己都合を盛り込むほど
顧客の喜びは遠のきやすく
共感は冷めやすい。
市場と私情は
分けて考えるところから
プロジェクトをスタートさせる。
絵の前に言葉をデザインする
お店のメニューに載せるコーヒーを
「ホットコーヒー」と書くか。
「プレミアムブレンドのドリップコーヒー」と書くか。
同じ商品や素材でも伝わり方と価値が変わる。
絵をつくる前に
言葉からデザインする。